演技力ってどうやって鍛えるの?
目に見えない「演技力」。
どう学び・磨けばいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
私も演劇を始めたばかりの頃はかなり悩みました
しかも駆け出しの頃って、レッスンにかけられるお金は限られています。
日常生活の中でできるだけお金をかけずに演技力を鍛えられたら、節約にもなるしお得ですよね。
本記事では5年近く舞台俳優として活動している私が、お芝居未経験・初心者の人に伝えたい、1人でもできる演技の基礎練習をお届けします。
【スキル別】1人でできる演技力基礎練習7つ
日常生活の中で演技基礎力を鍛える方法はたくさんあります。
できるだけお金をかけずに生活にも取り入れられるものを選んでみました。
1人でできる演技力の基礎練習7つ
できるものを1つ選んで実践してくださいね!
1. 意識分解ゲーム
普段の行動の流れを意識したことはありますか?
人間の行動の流れは「衝動→意識→目的→行動」の順番で発生しています。
こういった日常生活で無意識にしている行動を、お芝居では“意識的”に行わなければいけません。
「意識分解ゲーム」は今の自分の意識がどこに向いているのかを意識するゲームです。
うーん、いまいち分からないな…
「コンビニでおにぎりを買う」を例に説明しますね!
セブンイレブンでツナマヨのおにぎりを買う時の、意識の先を書き出してみました。
例:セブンイレブンでツナマヨのおにぎりを買う
- お店の扉から店内に入る
- おにぎりコーナーを探す
- ツナマヨをさがす
- 手に取る
- レジに向かう
- レジに並んでいる人がいないか確認する
- 並んでいる人がいたら後ろに並ぶ
- 順番が来たらレジに進む
- おにぎりを店員に渡す
- 財布を出す(スマホを出す)
- 会計をする
- おにぎりを受け取る
- 店の出入り口に向かう
こんなに意識の先って変わってるの
無意識で気づかないだけで、ここまで変わっています
これを日常の中で意識してください。
お芝居でも「おにぎりを買う」時の動作が細かく想像しやすくなり、表現の細やかさにつながっていきます。
もし慣れてきたら、どんどんシチュエーションを足してみます。
例えば、あと5分で電車が来る、おなかがすいて死にそう、ダイエット中なら…など。
シチュエーションが足されていくと、感じとれる感情が変わって発見があるはずです。
2. マイム
マイムは身体でその場を表現すること。
お芝居や演技では、そこには無いものを存在しているように表現するときもあります。
やってみるとなかなかできないものです。
例えば「テーブルのお茶を飲む」をマイムでやってみてください。
実際にやってみると
飲む時のカップと口の位置ってどのくらいだっけ?
と思ったりするかもしれません。
いかに普段無意識でやっているのかがわかります。
3. 脚本(台本)にある事実を書き出す
台本や戯曲を読むために必要な「読解力」。
書かれている文章は、どんな場面で、誰が登場していて、どんな関係性が書かれているかを、拾い把握する力です。
学生時代の国語とか現代文と一緒じゃない?
確かに似ています。
でも学生時代と違い、自分で答えを見つけ出さなければなりません。
実際に本番に立って台本を読み解くときに必ず必要な力です。
4. 読書
きっと他でも言われる「読書」。台本を読む上で必要な「想像力」を鍛えてくれる練習方法です。
最近はショート動画など、短い・すぐにわかるものが好まれるため、活字を読むのは苦手、というひともいるかもしれません。
そんな人には、青空文庫の短編作品がおすすめです。
太宰治や江戸川乱歩など、日本の文豪たちの作品から、海外の和訳された作品まで、さまざまな作品に触れられます。
こういった読書の積み重ねで、自分以外の人間ってどんな人がいるのかを知ったり、自分とは違ったタイプの人の行動や心の動きを理解しやすくなります。
5. 行動の目的を分解する
日常生活では無意識ですが、実は1つ一つの行動には必ず目的があります。
例えば、朝起きたら歯を磨いたり、顔を洗うという行動。
目的を考えてみるなら、
- 習慣化されていて、やらないと気持ち悪いからやる
- 朝から親に「顔を洗ったの?」と聞かれるのがうるさいから
など、いろんな目的をイメージできます。
こういった自分が普段やっている行動を、日常生活の自分の行動にも繋げて、自分はなんでこんな行動をしたのか、言語化してみるのがこの練習方法の目的です。
6. 競馬実況の真似をする
現役の声優さんに教えていただいた滑舌の練習方法です。
瞬間に起きている情報を伝える競馬実況。
YouTubeにも名シーンの切り抜き動画がたくさんあります。
また競馬の馬の名前には、変わったカタカナの名前も多いです。
慣れない言葉を言えるように練習すると、滑舌の練習にもなります。
また実際に聞いたアナウンサーを自分なりに再現することで、俳優として大切な「聴く力」も鍛えられます。
7. 電車広告のコピーをひと駅の間で正確に覚える
お芝居の現場では、台本を貰ってから撮影・稽古までの期間が短い場合もあります。
そのため台本を覚えるスピードは早いとベストです。
台本がもらえる機会がない…
そんなあなたにおすすめなトレーニングが「電車の中吊り広告に書かれているコピーを暗記する」こと。
やってみると意外と難しいです。
演技に必要な基本的なスキル6つ
台本や即興などを通して、体を通して役を演じ、物語やメッセージなどを伝え届ける「演技」。
人や想像の生き物など、表現するものは様々です。
どんな作品にも伝えたいメッセージや表現したいものがあります。
「演技力を磨く」と聞くと、台本を持って場面を表現したり、殺陣やダンス、日本舞踊を教わることをイメージする人もいるかもしれません。
ですが演技の基礎を支える力もちゃんとあります。
その“ぱっと見ではわからない力”がこの6つです。
1. “今”に集中できる集中力
演技(お芝居)で大切なのは「その場に集中する力」。
なぜなら、お芝居は“物語が発生している場”で起きている何かを、キャッチして反応して積み上げていくものだからです。
お芝居が上手い人は、物語の世界にちゃんと存在しています。
逆にお芝居が下手な人は、ただセリフを言っているだけだったり、素に戻っていたり。
物語に集中できていない場合が多いです。
お芝居で大切なのは、覚えた台詞(セリフ)を忘れること、とも言われています
2. 相手からのエネルギーをキャッチして反応する力
物語が起きている場に集中して、他の役からもらうエネルギーやリアクションをキャッチする。
お芝居は「キャッチボール」とよく言われます。
(一人芝居は別として)2人以上でやるお芝居での、セリフや行動は「相手に何かしてほしい(=目的)」があるから表現として出てくるもの。
物語の世界にいながら、相手の「こうしてほしい」を受け取って、反応する力もお芝居に欠かせない力です。
3. 台本から状況や行動の目的を拾える読解力
台本で演技を行うとき、テキストの中から物語の流れや登場人物の価値観・行動の目的などを読み取る力が必要です。
ですが台本は事実・動作・会話など、見える・聴こえる部分で構成されています。
つまりト書きとセリフから情報を拾わなければなりません。
私が駆け出しのときに悩んだのが「台本で何が起きているのか分からない」ということでした。
もし私が新人のころに戻れるなら、当時の私に「大事だよ!」と伝えたいです
4. 文章の余白を想像する力
ト書きとセリフしか書かれていない台本から、役がどんな生い立ちなのか・どんな価値観を持っているのかなどを想像する力のことです。
ここを具体的に+自分の中で共感できるところまで想像できると、セリフ以外の仕草や表情で表現できるものが増え、結果見ている人にもいろんな想像ができる表現につながります。
5. 感情などを表現できる身体性
観ている人に演技で伝えるとき、必要な基礎力は6つあります。
- 発声
- 滑舌
- 表情筋
- 身体の柔軟性
お芝居は見ている人がいて成立するものです。
いくら素敵な台本の読み解き方や想像ができていても、表情や滑舌が弱いと、見ている人には伝わらないことも。
お芝居には、見ている人に表現で伝えられる身体作りも欠かせません。
6. セリフを早く覚える力
台本のあるお芝居では、いかに台本を早く覚えられるかも意外と大切なポイント。
早く覚えられれば、役作りや共演者との関係性作りなど、ほかに時間を使えます。
ただ文字を覚えるのはNGです…!
1人でも演技力を上げるのは限界があるのも事実です
ここまでで1人でできる演技力の基礎の磨き方を紹介しました。
ですがあくまでここで紹介したものは1人のときにできることで、演技は複数人の人と協力して作り上げるものです。
そのため演技力を磨くには「観ている人の目」が欠かせません。
私は養成所や専門学校などに通わず、いきなり演劇の世界に飛びこみました。
そこで気づいたのは「演技の独学は限界がある」ということ。
誰かの視点を借りて気づきを得ることも必要です。
まとめ|初心者が演技力を上げるためのステップ
今回は演技力に必要な6つの力、そして1人でも基礎練ができる方法をご紹介しました。
演技の道は日々の積み重ねが大切です。
今からできることを少しずつ、積み重ねて頑張っていきましょう!
この記事が少しでも役に立ったら嬉しいです。
またこのブログでは、俳優を目指す人に向けた記事を投稿しています。ぜひ他の記事ものぞいてみてください。
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