演技力ってどうやって鍛えるの?
目に見えない「演技力」。
どう学び・磨けばいいのかわからないという人もいるのではないでしょうか。
私も演劇を始めたばかりの頃はかなり悩みました
しかも駆け出しの頃って、レッスンにかけられるお金も限られています。
日常で、お金をかけずに演技力を鍛えられたら、節約にもなるし、めちゃお得ですよね。
本記事では5年近く舞台俳優として活動している私が、お芝居未経験・初心者の人に伝えたい、1人でもできる演技の基礎練習をお届けします。
- 演技に必要な基礎力5つ
- 【種類別】1人でもできる演技基礎力トレーニング7つ
- 自主練+他人からの以外にも学べる場は必要
そもそも演技とは?
台本や即興などを通して、体を通して役を演じ、物語やメッセージなどを伝え届けること。
人や想像の生き物など、表現するものは様々です。ですが、どの作品でも何かしら伝えたい目的や表現したいものがあります。
そういったものを身体(声や動きも含めて)を通して表現するのが、演技です。
演技に必要な基本的なスキル6つ
俳優自身が持つ身体を通して、表現する「演技」。
演技力を磨く、と言うと、殺陣やダンス、日本舞踊などを習うことをイメージする人もいるかもしれません。
ですが演技って、ぱっと見ではわからない力も必要だったりします。
その“ぱっと見ではわからない力”がこの6つです。
1. “今”に集中できる集中力
演技(お芝居)で大切なのは、「その場に集中すること」。
なぜなら、お芝居は“物語が発生している場”で起きていることを、キャッチして反応して積み上げていくものだからです。
お芝居が上手い人は、物語の世界にちゃんと存在しています。
逆にお芝居が下手な人は、ただセリフを言っているだけだったり、素に戻っていたり。物語に集中できていないことが多いです。
お芝居で大切なのは、覚えた台詞(セリフ)を忘れること、とも言われます…
2. 相手からのエネルギーをキャッチして反応する力
物語が起きている場に集中して、他の役からもらうエネルギーやリアクションをキャッチする。
要はリアクションのこと!
お芝居は、キャッチボールとよく言われます。
(一人芝居は別として)2人以上でやるお芝居で、セリフや行動って「相手に何かしてほしい」から、出てくるもの。
そのため、物語の世界にいながら、相手の「こうしてほしい」を受け取って、反応する力もお芝居に欠かせない力です。
3. 台本から状況や行動の目的を拾える読解力
台本を元に演技を行う場合、台本から物語の流れや登場人物の価値観・行動の目的などを読み取ることが必要です。
ですが、台本は物語の骨組み。
ト書きとセリフから、情報を拾わなければなりません。
4. 文章の余白を想像する力
ト書きとセリフしか書かれていない台本から、役がどんな生い立ちなのか・どんな価値観を持っているのかなどを想像する力のことです。
ここを具体的に+自分の中で共感できるところまで想像できると、セリフ以外の仕草や表情で表現できるものが増え、結果見ている人にもいろんな想像ができる表現につながります。
5. 見ている人に表現し伝える力
みている人に表現し伝える力には、大きく分けて3つあります。
- 発声
- 滑舌
- 表情筋
- 身体の柔軟性
お芝居は見ている人がいて成立するものです。そのため、いくら素敵な台本の読み解き方や想像ができていても、表情や滑舌が弱いと、見ている人には伝わらないことも。
お芝居には、見ている人に表現で伝えられる身体作りも欠かせません。
6. セリフを早く覚える力
台本のあるお芝居では、いかに台本を早く覚えられるかも意外と大切なポイント。早く覚えられれば、役作りや共演者との関係性作りなど、他のことに時間を使うことができます。
ただ文字を覚えるのはNGです…!
【スキル別】1人でもできる演技力の基礎練習7つ
日常生活の中で、演技の基礎力を鍛えられる方法は意外とたくさんあります。
普段の行動を意識的に言葉にしてみたり、電車の中づり広告を利用してみたり。
演技に必要なスキルごとに、それぞれできるひとり練習方法をご紹介します。
まずは今すぐできるものを1つ見つけて実践してみてください!
1. “今”に集中できる集中力を鍛える練習方法
演技に必要な集中力を鍛える練習方法をご紹介します。
意識分解ゲーム
日常での行動って、実は衝動→意識→目的→行動の順番で、起きています。
ですが、日常生活ではこういったプロセスを「無意識でやっている」もの。
お芝居では、普段無意識でやっていることを、意識しなければ行けません。
(慣れてくると、無意識でもお芝居の意識をコントロールできるようになります)
「意識分解ゲーム」は、今自分の意識はどこに向いているのかを意識するゲーム。
例:セブンイレブンでツナマヨのおにぎりを買う
- お店の扉から店内に入る
- おにぎりコーナーを探す
- ツナマヨをさがす
- 手に取る
- レジに向かう
- レジに並んでいる人がいないか確認する
- 並んでいる人がいたら後ろに並ぶ
- 順番が来たらレジに進む
- おにぎりを店員に渡す
- 財布を出す(スマホを出す)
- 会計をする
- おにぎりを受け取る
- 店の出入り口に向かう
こんなに意識の先って変わってるの
意識のベクトルはこんなに変わっています。
これを日常の中で、まずは意識してみる。
すると、お芝居でも「おにぎりを買う」時の動作が細かく想像しやすくなり、その分表現の細やかさにもつながっていきます。
もし慣れてきたら、ここにどんどんシチュエーションを足してみます。
例えば、あと5分で電車が来る、おなかがすいて死にそう、ダイエット中など。
こういったシチュエーションが足されていくと、感じられるものがどんどん変わって、楽しくなると思います。
マイム
マイムは目に見えないものを、体の表現だけで伝え表すこと。
お芝居や演技では、そこには無いものを、まるで存在しているかのように表現する時もあります。
ですが、いきなりやってみるとなかなかできないことも。
例えば「テーブルのお茶を飲む」をマイムでやってみてください。
飲む時のカップと口の位置ってこれでいいんかな?と思ったりするかもしれません。
そうやって普段何気なく習慣的にやってる行動をマイムだけでやってみる。
すると、いかに普段無意識でやっているのかがわかると思います。
2. 台本から状況や行動の目的を拾える読解力
演技に必要な読解力を鍛える練習方法をご紹介します。
台本に描かれている「確定した情報をリストアップする」
台本や戯曲を読むために必要な「読解力」。
書かれている文章は、どんな場面で、誰が登場していて、どんな関係性が書かれているのか。
これらを拾って、把握することができる力です。
学生時代の国語とか現代文と一緒ジャン
確かに似ているのですが、学生時代と違い、自分で質問を作って、その答えを見つけ出さなければなりません。
実際に本番に立って台本を読み解く時に、この力は必ず必要です。
駆け出しの時、めちゃ知りたかったことです。
4. 文章の余白を想像する力
読書
きっと他でも言われる「読書」。台本を読む上で必要な「想像力」を鍛えてくれる練習方法です。
最近はショート動画など、短い・すぐにわかるものが好まれるため、活字を読むのは苦手、というひともいるかもしれません。
そんな人には、青空文庫の短編作品がおすすめです。
太宰治や江戸川乱歩など、日本の文豪たちの作品から、海外の和訳された作品まで、さまざまな作品に触れることができます。
こういった読書の積み重ねで、自分以外の人間ってどんな人がいるのかを知ったり、自分とは違ったタイプの人の行動や心の動きを理解しやすくなります。
行動の目的を分解してみる
日常生活では無意識ですが、実は1つ一つの行動には必ず目的があります。
例えば、朝起きたら歯を磨いたり、顔を洗うという行動。
この行動の目的を考えてみるなら、
- 習慣化されていて、やらないと気持ち悪いからやる
- 朝から親に「顔を洗ったの?」と聞かれるのがうるさいから
など、いろんな目的をイメージすることができます。
こういった自分が普段やっている行動を、日常生活の自分の行動にも繋げて、自分はなんでこんな行動をしたのか、言語化してみるのがこの練習方法の目的です。
5. 見ている人に表現し伝える力
みている人に表現し伝える力には、大きく分けて3つあります。
- 発声
- 滑舌
- 表情筋
- 身体の柔軟性
これらを鍛えるのも非常に大切です。
わかりやすく鍛える方法は色々ありますが、せっかくなら楽しくできた方がいいですよね。
競馬の実況を真似してみる
現役の声優さんに教えていただいた滑舌の練習方法です。
その瞬間に起きている情報を伝える競馬実況。YouTubeにも名シーンの切り抜き動画がたくさんあります。
また競馬の馬の名前には、変わったカタカナの名前も多いです。
慣れない言葉を言えるように練習することで、滑舌の練習にもなります。
また実際に聞いたアナウンサーを自分なりにみて再現することは、俳優として大切な観察力の聴力版を鍛えることにもつながります。
6. セリフを早く覚える力
セリフを早く覚える力を鍛える練習方法をご紹介します。
電車の広告のコピーを一駅の間で正確に覚えてみる
お芝居の現場では、台本を貰ってから撮影・稽古までの期間が短いこともあります。
そのため、台本を覚えるスピードは早いに越したことはありません。
身近なトレーニング方法としては、電車の中吊り広告に書かれている文章を覚えてみる、ということ。
やってみると意外と難しいです。
独学で演技を学ぶ・鍛えるのも限界はある
私自身、養成所や専門学校などに通わず、演劇の世界に飛び込んでみて感じたことがあります。
それは、「独学で演技を学ぶことには限界もある」ということ。
センスがあれば、必要ないかもしれません。
ですが、凡人であれば、時には演劇の先人の学びや、誰かの視点を借りて気づきを得ることも必要です。
ワークショップであれば、気になるポイントだけに絞って、専門的なフィードバックをもらうことができます。
もし専門学校や養成所に通わずに頑張っているのであれば、たまにはこういったワークショップで、今の自分をチェックしてみてください。
まとめ|初心者が演技力を上げるためのステップ
今回は演技力に必要な6つの力、そして1人でも基礎練ができる方法をご紹介しました。
演技の道は日々の積み重ねが大切です。
今からできることを少しずつ、積み重ねて頑張っていきましょう!
この記事が少しでも役に立ったら嬉しいです。
またこのブログでは、俳優を目指す人に向けた記事を投稿しています。ぜひ他の記事ものぞいてみてください。
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